2017年8月15日火曜日

君津製鐵所までエコツアーをしました。

  2017年8月7日(月) 台風5号接近の不安を抱えながら41名が君津製鐵所に向かいました。往きのバスで製鉄の仕組みとエコの見処について解説を聴きました。

 鉄は私たちの暮らしになくてはならないもので建造物、テレビ、冷蔵庫、自動車などに使われますが、鉄づくりは酸化鉄の還元工程で大量のCO 2 が発生します。日本のCO 2 発生量の13%が製鉄所から排出するそうです。その分製鉄所はCO 2 排出の徹底した削減策や生産工程で排出される可燃ガスなどの再利用でエネルギーの有効活用を図るなど興味深いものばかりです。

 君津製鐵所広報センターに着くとのガイドさんに会場に案内され、ホールで鉄の作り方などの説明をDVDを交えしてくれました。



 鉄は鉄鉱石と石灰石(炭酸カルシウム(CaCO3))とコークスは交互に層状に高炉の中に敷き詰めて下から熱風を吹くと炭素含量が多い銑鉄が解け落ちてくるということです。
 銑鉄中の炭素を取り除くため、転炉に入れて酸素を上から吹くと炭素は酸素と結びつき取り除かれます。この際、酸素が鉄鋼中に残るのでアルミ等を入れて脱酸します。更に連続鋳造して鉄鋼の塊ができ次の熱延工程で厚板に延ばされます。今回の見学コースはプラスチック工場、熱延工場、敷地内の植栽事業を見学させていただくことになりました。一行は赤いヘルメットを着用してバスに乗り込みました。

以上の画像は新日鐵住金のホームページより抜粋

赤いヘルメットを被って場内見学

環境団体として今回の見処は自治体が出す廃棄プラスチック(廃プラ)がどのように役立てられているかを知ることなのでプラスチック工場は大変興味がありました。
鉄の製造には酸化鉄からなる鉄鉱石と石炭を乾留(大気を遮断する蒸し焼き)したコークスが主原料でその他石灰が補助材料として使われます。石炭は大気を遮断して加熱することによって20%のコークスと40%の可燃ガスと40%のタールなどの有機成分が出てきます。石炭は地下の有限資源で海外から輸入されます。したがって石炭の使用量を抑えることで環境にやさしくすることができます。石炭の使用量を抑える方法の一つに全国の自治体から出る廃プラスチック(廃プラ)の一部を利用して石炭の代用にすることができます。廃プラを石炭に混ぜて一緒にコークス炉で蒸し焼きにすると廃プラ由来のコークスが入ったコークスができます。新日鐵住金では全国から出る67万トンの廃プラのうち31%を新日鐵が、更にそのうち君津製鐵所が約7万トンを製鉄原料に使うのだそうです。

石炭の代用率についての質問がありましたが、技術的には2%まで可能だそうですが、現在は1%位だそうです。

また石炭の乾留で出てくる大量の可燃ガスは燃焼させて汽力(水蒸気で発電タービンを回す)発電している。尚、石灰石は地元富津市の水産加工業組合から出る廃貝殻を使いますが廃棄処分に困っていたものを新日鐵が引き取り資源として活用するのだそうです。

エネルギーの再利用というところでは高炉から排出されるガスは高圧であったり、メタンや一酸化炭素など可燃ガスが含まれたりするためこれらを燃焼させて得られる熱量を利用してタービンを回して発電するなど大量に使用する電力を補うことができるのだそうです。

 プラスチック工場の次は熱延工場を見ました。熱延は転炉で成分調整された1600℃の鉄鋼が冷やされ1200℃の直方体の真っ赤な塊が巨大なローラーで圧延される工程ですが、圧延されるときの音や水蒸気が吹き上がる様子や真っ赤な鉄が通過する際に受ける輻射熱は大変迫力がありました。見ているだけで顔から汗が噴き出すほどで、炎天下なのに工場を出ると涼しささえ感じるほどでした。

その他バスで敷地内を回りましたが緑に森に囲まれた環境は君津製鐵所ができたとき従業員や地元の小中学生が植樹したものだそうです。

最後に部屋に戻って質疑応答があり記念写真を撮ってもらいました。